前回は,裁判にまで至った場合のことをお話ししました。
今回は,離婚事件の最後として,親権を争う場合について,
具体的事案を前提にお話しします。
なお,今回ご紹介する事案も,私が経験した複数の事案を,
適宜アレンジしてつくったものであり,
特定の事案をご紹介しているものではありません。
その点はご了承下さい。
<事案>
AさんとBさんは,足立区にある夫Aさんの実家で,
Aさんの両親とともに同居して生活していた。
その後AさんとBさんとの間にCちゃんが誕生したが,
BさんとAさんの両親との間で子育てをめぐる対立が起き,
最終的には子どもを置いてBさんが家出をしてしまった。
それから数年が経ち,Bさんから離婚調停の申立てとともに,
監護権者指定の調停の申立てが行われた。
Aさんとしては,Cちゃんを何年も置き去りにしたBさんに
親権を譲ることはできないと考えている。
この事案では,Cちゃんの監護権者,
すなわち離婚するまでの間どちらが面倒を見るかにつき,
まずは調停でAさんとBさんとの間での話し合いが行われ,
話し合いがつかなければ審判という形で裁判官が判断します。
そして,監護権が相手方に委ねられることになった場合,
離婚した後の親権もほぼ相手方に委ねられることになります。
このため,監護権についての争いが主たる争点となります。
監護権をめぐる争いは,家庭裁判所調査官による調査等,
慎重な手続を経て決定されるものであり,
結論が出るまで相応の長期間を要するほか,
特に不利に扱われやすい男性側の代理人としては,
裁判所の意向や相手方の主張などにも対応しつつ,
シビアな対応を強いられることになります。
このため,通常の離婚事件の弁護士費用は,
離婚以外の付帯請求,例えば婚姻費用や養育費,慰謝料等も,
処理が困難なものでなければ別料金をいただかずに,
調停開始時20万円,訴訟時に追加で10万円の着手金,
30万円程度の報酬という目安になっておりますが,
監護権争いや親権争いの場合は,別途着手金20万円程度,
報酬30万円程度の追加をお願いしております。
なお,費用負担が厳しいという方については,
分割払いや法テラスの利用等にも対応しておりますので,
ご遠慮なく相談していただければと思います。