事務所ブログ

2014.08.22更新

前回まで,離婚について集中してお話ししてきましたが,
離婚についての話をいったん締めくくるにあたり,
調停での合意や離婚の裁判が成立した後の執行について,
簡単にお話ししておきたいと思います。

調停手続で合意が成立し,調停調書が作成された場合も,
あるいは離婚裁判や各種審判で判決・審判が下された場合も,
調停調書や判決書・審判書に記載された義務の存在が,
裁判所が関与する形で認められただけのことであり,
その義務を履行するかどうかは義務者に委ねられます。

多くの場合,判決等で義務が明らかになった場合には,
そのとおりに義務を履行する義務者が多いのですが,
もし義務者が自分から義務を履行しようとしない場合には,
義務の履行を促したり,強制的に義務を履行させたり,
といった手段を採る必要が生じることになります。

まず,家庭裁判所の手続で決まった義務については,
家庭裁判所に申立てを行うことで,
義務者に対して履行勧告をしてもらうことができます。
ただ,これには強制力がありませんので,
義務者が勧告を無視すれば意味がありません。

次に,裁判上認められた義務については,
強制執行が認められることがあります。
強制執行ができるかどうかやその方法は,
義務の性質等によって異なるのですが,
例えば養育費や婚姻費用の支払義務については,
義務者の財産を差し押さえて強制的に義務の履行を受ける,
という直接強制の方法による強制執行が可能です。
差し押さえる財産にはいろいろありますが,
義務者がお勤めの方であれば,給与の差押えというのが,
最も確実な方法ということになるでしょう。
この他,義務者が北千住の高級マンションに住んでいて,
義務を履行するに足りる財産を十分有しているのに,
義務の履行をしないというような場合については,
債務の額にもよりますが,このマンションを差し押さえ,
換金して債務を履行してもらうということもあります。
なお,義務者の財産を差し押さえるということなので,
義務者に差押えできるような財産が何もない場合は,
強制執行しても無意味ということになります。

他方,面会交流の義務については,
義務の性質上,直接強制の手段は採り得ず,
義務を履行しない場合は一定額の間接強制金の支払を命じ,
間接強制金の支払をしたくないのならば義務を履行せよ,
という形の強制執行(間接強制)をすることになります。
ただ,間接強制金を支払うだけの財産がない義務者には,
間接強制はほとんど意味がありません。

この他にも,ハードなものとしては子の引渡しの直接強制など
強制執行にも様々な類型のものがあります。

家庭裁判所の手続で義務が定まったのに履行してもらえない,
という場合には,これら手段を検討しましょう。
当事務所では,履行勧告や強制執行についても,
幅広く事件の依頼や相談をお受けしております。
まずは土日・夜間も対応で初回60分無料の法律相談で,
お悩みをお聞かせください。

投稿者: 豊和法律事務所