事務所ブログ

2014.08.21更新

前々回,別居後・離婚後の子とのかかわりについてお話しし,
その中で,養育費についても触れましたので,
ここで養育費の算定がいかにして行われているかについて,
少し掘り下げてお話ししたいと思います。

多くの方が御存知のとおり,養育費や婚姻費用の算定は,
夫婦双方の収入を前提に算定表に当てはめて行うことが,
実務の通例として定着しています。

ただ,養育費等の支払義務者の年収が2000万円以上とか,
子どもが4人以上いる場合,
さらには両親が複数の子をそれぞれ監護している場合などは,
そもそも算定表がそのまま使えないので,
算定表作成の基礎となった考え方に立ち戻るなどして,
養育費等の額を決めていく必要があります。

また,算定表が使える場合でも,
算定表の額をそのまま使うと妥当でない場合については,
やはり算定表作成の基礎となった考え方に立ち戻り,
養育費等の計算方法を修正することがあります。
例えば,夫Aと妻Bとの間に未成年の子Cがおり,
この3人が北千住の賃貸マンションで生活していたが,
ABの不和の末,Aは家に帰らないようになった,
という事案で,Aが賃貸マンションの家賃を支払っていれば,
支払っている家賃の額が養育費等から控除されます。
Aがマンション等の住宅ローンを支払っている場合も,
家賃のように全額ではないものの,一定割合が控除されます。
この他にも,夫婦共同名義で購入した自動車のローンなど,
養育費等から控除可能なものがありますので,
そうした点も,必要に応じて主張する必要があります。

さらに,養育費の額は,調停成立時点ないし審判時点における
夫婦双方の収入を前提として算定された額ですから,
夫婦のいずれか一方の収入が変動した場合や,
養育費等の支払義務を負う者が再婚して扶養すべき子ができた
といった場合には,養育費等の額を変更できます。

なお,勝手に子供を連れて出て行かれてしまった,など,
別居に至る原因は,養育費等の算定では考慮されません。
また,例えば別居する際に妻が夫名義の預金通帳を持ち去り,
預金を引き出して生活費として使用している,という場合も,
財産分与の際に考慮することができるのみで,
それゆえに養育費等の支払義務を免れることはできません。
さらに,面会交流を養育費等の支払の条件とはできず,
両者は切り離して実施する必要があります。

このように,養育費等は,必ずしも算定表だけで決まらず,
妥当な結論とするための修正を行うことができます。
養育費の額等に関して,疑問や不安がある方は,
ぜひ当事務所の無料法律相談をご利用ください。
土日夜間を含む24時間相談に対応しておりますので,
相談者様のご都合のよい日時をご指定いただければ,
いつでも相談に応じます。
ぜひお気軽に電話かメールでご連絡ください。

投稿者: 豊和法律事務所