事務所ブログ

2014.08.15更新

別居後に決めなければならないこととして,
今回は,⑤離婚時年金分割についてお話しします。

離婚時年金分割の制度は,特に熟年離婚の場合に,
例えばサラリーマンの夫は厚生年金を受給できる一方,
結婚期間中厚生年金保険料の支払に貢献した妻は,
離婚後何ら保険料の分配を受けられないため,
そうした不都合を避けるために,
夫が将来支給を受ける厚生年金・共済年金について,
妻もその分配を受けられるようにした制度です。

もっとも,これは夫婦の一方が将来受け取る厚生年金や
共済年金を分割するという制度ですから,
夫婦の双方が国民年金に加入している場合には,
年金分割の制度は利用できません。
また,分割されるのは,妻の貢献がある期間のみ,
すなわち婚姻期間中の支払額に相応する年金に限られますし,
厚生年金部分・共済年金部分に限られています。

さらに,分割割合が2分の1だからといって,
年金の半分をもらえるというものではありません。
婚姻期間にもよるので何ともいえませんが,
手取り年金額はそれほど増えないというのが現実のようです。
具体的にどの程度年金額が増えるか(あるいは減るか)は,
必要に応じて社会保険労務士さんに計算してもらいましょう。
なお,平成20年4月1日以後の年金分割は,
いわゆる3号分割として,合意なしで2分の1になりますが,
それ以前はいわゆる合意分割として,
夫婦双方の分割割合についての合意が必要となります。
夫婦間で合意できない場合は裁判所が割合を決めます。

離婚時年金分割は,財産分与と同様,
公平な財産関係の清算のための手段ですから,
分割請求できる人はぜひ利用してほしいですし,
分割請求を受ける方も,積極的に協力してあげてください。

年金分割の手続は,お住まいの地域を管轄する年金事務所に,
年金分割のための情報提供請求書を提出して情報提供を受け,
調停等をしている場合はこれを家庭裁判所に提出し,
調停・審判が終わったら再び年金事務所に行き,
調停調書・審判書を添えて標準報酬改定請求を行う,
という形で進んでいきます。
北千住にお住まいなら,綾瀬にある足立年金事務所,
南千住にお住まいなら,熊野前の荒川年金事務所が,
それぞれ管轄の年金事務所になりますので,
必要に応じて出向くか手続の代行を依頼してください。

なお,当事務所では,年金分割に関して不明な点の相談や,
手続の代行の依頼を積極的にお受けしております。
相談料は無料,土日・夜間も相談に対応しておりますので,
電話かメールでご連絡ください。

投稿者: 豊和法律事務所