このところ毎日離婚の話ばかりしていますので,
今日は気分を変えて,法廷傍聴の話をしましょう。
日本では,刑事訴訟の公判と民事訴訟の口頭弁論は公開され,
国民は誰でも自由に傍聴することができます。
裁判所は平日の昼間しかやっていませんが,
学生さんは夏休みの間は傍聴する余裕があるはずですし,
社会人の方でも平日に休みが取れた場合は,
ぜひ一度,裁判傍聴に行ってみてください。
裁判傍聴は,特に目的なくぶらっと行ってみるだけでも,
色々な発見があって面白いものですが,
より有意義な傍聴にするためには,
次のような点に気をつけてみてください。
まず,裁判所では多くの事件の審理が行われていますが,
傍聴できる裁判の数には自ずから限度がありますから,
興味がある裁判に絞って傍聴するようにしましょう。
裁判は,大きく分けて民事裁判と刑事裁判がありますが,
民事裁判の手続は基本的には書面中心に進んでいくこと,
主要な話し合いは非公開の弁論準備手続で行われること,
1回の期日だけ見ても意味が分かりにくいことなどから,
刑事裁判を傍聴することをお勧めします。
また,刑事裁判の中でも,「証拠調べ」等の公判ではなく,
「新件」と書いてある公判を選んで傍聴しましょう。
「新件」の公判では,刑事裁判の冒頭手続,
場合によっては被告人質問までの手続の全体が傍聴でき,
刑事裁判の全体像を知ることができるからです。
なお,裁判員裁判はほぼ一日中審理が続くものなので,
その裁判だけ傍聴したい場合以外はお勧めしません。
どこでどんな裁判が行われているかは,
その日裁判所に行って法廷の前に行き,開廷表を見なければ
正確には分かりません。
東京地裁だと法廷の数も多いので,探すのが大変ですが,
それも法廷傍聴の楽しみだと割り切って探してみてください。
次に,裁判が始まる時間です。
民事でも刑事でも,裁判が始まる時間はおおむね10時か,
午後に入って1時,3時のどれかが多いです。
午前なら9時30分,午後なら12時30分ころ,
裁判所に入って法廷を探して入っておきましょう。
途中から法廷に入ることができないわけではないですが,
手続の全体を見られないのではあまり意味がないですし,
場合によっては傍聴席が満員で入れなくなってしまうので,
早めに行動するに越したことはありません。
なお,東京地方裁判所なら地下に食堂もあります。
最後に,傍聴に行く前の準備ですが,
裁判手続に関する簡単な解説書を図書館で借りるなどして,
事前に裁判でどんな手続が行われるのか調べておきましょう。
可能であればその本を見ながら,手続がどう進むのか,
確認しておくとさらに分かりやすくなります。
北千住・南千住周辺から裁判傍聴に行くのなら,
東京地方裁判所ということになるでしょう。
東京メトロ日比谷線に乗って霞ヶ関駅で降り,
案内表示を見ながら進めばそれほど迷わないと思いますが,
家庭裁判所に行ってもあまり意味がないので,
(離婚の裁判などはありますが,民事裁判と変わりません)
ちゃんと地方裁判所に行ってくださいね。