事務所ブログ

2014.08.09更新

このブログで,配偶者から暴力を振るわれている場合,
一刻も早く機会をつかんで身体の自由を確保する必要がある,
という話をしたことがあるかと思います。
このような場合,別居の準備とかそういうことはさておき,
とにかく逃げ出すことを最優先すべきですが,
そうした切迫性のない事案で別居の道を選ぶ場合には,
別居の前に決めておくべきことがあります。

5W1Hに沿って整理していくと,
第1に,なぜ(Why)として,何のために別居するのか,
目的をはっきりさせておく必要があります。
多くの場合,離婚が目的になると思いますが,
既にお話ししたとおり,長期間別居したからといって,
必ず離婚できるというものではありません。
離婚が目的なのであれば,別居すれば離婚できるのか,
離婚できるとして,離婚までの期間の見込みはどうか,
などについて,考えておく必要があります。

第2に,誰が(Who)として,誰を連れて行くか,
ということを決めておく必要があります。
子どもがいないとか,いても成人しているなら別ですが,
小さい子どもがいるのならば,自分が連れて行くのか,
それとも誰かに預けるのか,予め決めておかなければ,
別居に踏み切ることは困難でしょう。

第3に,どこで(Where)として,
別居後の生活をどこで営むのか,決める必要があります。
別居先に子供を連れていくなら,乳児段階なら別として,
そうでなければ通学の便も含めて考慮すべきでしょう。
北千住など交通のよい場所ならばよいですが,
交通の便の悪い場所では子どもの負担が重くなるとともに,
日常生活の不便も大きくなります。
併せて,別居後の生活場所を配偶者に知られたくないならば,
住民票のロックや戸籍附票の不開示,
さらに必要があれば接近禁止命令の申立てなどの手段を,
予め検討しておいた方がよいでしょう。

第4に,どのように(How)として,
別居後の生活をどのように営んでいくか,
ということを決めておく必要があります。
別居後に職を探して収入を得る必要があるなら,
どんな形で就職活動をするのか,そしてその見込みはどうか,
予め調べておく必要があります。
また,配偶者からの婚姻費用の支払を受けられるのか,
受けられるとしてどのくらいの額か,
支払開始までの期間がどの程度と見込まれるか,
そうした点も検討しておくとよいでしょう。
逆に,十分な収入があって配偶者に収入がない場合は,
婚姻費用を支払う必要が生じないか,検討しましょう。

第5に,いつ(When)として,
別居に踏み切る時期を決めておく必要があります。
別居後の生活場所の選定や職探しの状況とともに,
子どもの進級や進学なども考慮して計画を立て,
別居の準備を進めていくべきでしょう。

第6に,何を(What)として,何を持っていくか,
別居の際の持参品を決めておきましょう。
ご自身の実印及び印鑑登録カード,免許証等の身分証明書,
携帯電話,PC,キャッシュカード,クレジットカード,
さらに保険証などは必ず持っていくようにしましょう。
なお,別居後の相手方の生活を不当に妨げないように,
相手方名義のものはできる限り持ち出さないでください。
物の返還をめぐって不要なトラブルを招きますし,
離婚の交渉自体にも悪影響となりかねないからです。

このように,別居するにあたっては,
決めておくべきことがたくさんあります。
各項目について漏れなく決めておくことができたか,
不安な場合は,当事務所の無料法律相談をご利用ください。
目立たず相談したいというご要望に応じて,
土日・夜間を含む24時間,事務所外の相談にも応じます。
まずは電話かメールでご連絡ください。

投稿者: 豊和法律事務所