このブログで,配偶者から暴力を振るわれている場合,
一刻も早く機会をつかんで身体の自由を確保する必要がある,
という話をしたことがあるかと思います。
このような場合,別居の準備とかそういうことはさておき,
とにかく逃げ出すことを最優先すべきですが,
そうした切迫性のない事案で別居の道を選ぶ場合には,
別居の前に決めておくべきことがあります。
5W1Hに沿って整理していくと,
第1に,なぜ(Why)として,何のために別居するのか,
目的をはっきりさせておく必要があります。
多くの場合,離婚が目的になると思いますが,
既にお話ししたとおり,長期間別居したからといって,
必ず離婚できるというものではありません。
離婚が目的なのであれば,別居すれば離婚できるのか,
離婚できるとして,離婚までの期間の見込みはどうか,
などについて,考えておく必要があります。
第2に,誰が(Who)として,誰を連れて行くか,
ということを決めておく必要があります。
子どもがいないとか,いても成人しているなら別ですが,
小さい子どもがいるのならば,自分が連れて行くのか,
それとも誰かに預けるのか,予め決めておかなければ,
別居に踏み切ることは困難でしょう。
第3に,どこで(Where)として,
別居後の生活をどこで営むのか,決める必要があります。
別居先に子供を連れていくなら,乳児段階なら別として,
そうでなければ通学の便も含めて考慮すべきでしょう。
北千住など交通のよい場所ならばよいですが,
交通の便の悪い場所では子どもの負担が重くなるとともに,
日常生活の不便も大きくなります。
併せて,別居後の生活場所を配偶者に知られたくないならば,
住民票のロックや戸籍附票の不開示,
さらに必要があれば接近禁止命令の申立てなどの手段を,
予め検討しておいた方がよいでしょう。
第4に,どのように(How)として,
別居後の生活をどのように営んでいくか,
ということを決めておく必要があります。
別居後に職を探して収入を得る必要があるなら,
どんな形で就職活動をするのか,そしてその見込みはどうか,
予め調べておく必要があります。
また,配偶者からの婚姻費用の支払を受けられるのか,
受けられるとしてどのくらいの額か,
支払開始までの期間がどの程度と見込まれるか,
そうした点も検討しておくとよいでしょう。
逆に,十分な収入があって配偶者に収入がない場合は,
婚姻費用を支払う必要が生じないか,検討しましょう。
第5に,いつ(When)として,
別居に踏み切る時期を決めておく必要があります。
別居後の生活場所の選定や職探しの状況とともに,
子どもの進級や進学なども考慮して計画を立て,
別居の準備を進めていくべきでしょう。
第6に,何を(What)として,何を持っていくか,
別居の際の持参品を決めておきましょう。
ご自身の実印及び印鑑登録カード,免許証等の身分証明書,
携帯電話,PC,キャッシュカード,クレジットカード,
さらに保険証などは必ず持っていくようにしましょう。
なお,別居後の相手方の生活を不当に妨げないように,
相手方名義のものはできる限り持ち出さないでください。
物の返還をめぐって不要なトラブルを招きますし,
離婚の交渉自体にも悪影響となりかねないからです。
このように,別居するにあたっては,
決めておくべきことがたくさんあります。
各項目について漏れなく決めておくことができたか,
不安な場合は,当事務所の無料法律相談をご利用ください。
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